そろそろ、限界が見えてきた

国産材シェアも久々に30%を超えたと伝えられました。一時期には18%台まで落ち込んでいたことを思えば、かなりの回復ぶりです。
しかし、その回復の主な原因は合板への国産材利用の拡大で、大手プレカット工場などでは、まだまだ国産材への切り替えが進んでいるとは言えません。
最近、木質バイオマス発電が大きく取り上げられ、全国各地に大小の発電設備が作られつつあります。燃料用チップやペレットが国産材のシェアにカウントされるものなのか、もともと林地に捨てられ、製材工場の廃材もせいぜい、木材乾燥の熱源として利用される程度だったので、それを発電に利用することでシェアにカウントされるのか、ご存じの方がいらしたら、お教え頂きたいと思います。
年々、国産材シェアが低下していた時期、国は必死になってその回復に努力して来ました。大型製材工場の建設に補助金を出したり、合板メーカーに国産材を使うよう指導したり、そして今、木質バイオマス発電にも補助金を設け、燃料用の需要拡大を目指しています。
ということは、燃料用の需要への供給も国産材シェアにカウントされるのかなとは思いますが、今までの国産材シェア拡大策は殆どが国や地方自治体が主導権を持ち、補助金や指導で行われてきたと言っても過言ではありません。
しかし、私はこのような上からの需要拡大は、そろそろ限界に近づいて来ているのではないかと思っています。燃料用チップの工場建設や生産設備に補助金を出し、そこで発電された電気を高く買い取るのでは、国民は税金と電気代の二重の負担を負うことになります。
そもそも、今まで使われなかった枝葉や製材端材を、ただ燃やしてしまって有効利用したと考えるのは、あまりに安易です。粉砕して家畜の飼料にし、その排泄物を発酵させたメタンガスで発電をするなどと言うのが、本当の有効利用だと思います。
最近ではナノ・セルロースファイバーを使って、重さは鉄の1/5、強度は鉄の5倍という新素材も開発されています。また、木材から石油の代替燃料を作る技術開発も行われています。
木をただ燃やすと言うのは原始時代に戻ったようで、賢い木材利用とは言えないのではないでしょうか?
今後、住宅着工数が漸減していくことは間違いなく、大型製材工場の新たな建設も合板への国産材利用にも限界があります。集成材の原料を外材からスギに切り替えていくことは可能でしょうが。
そろそろ、今までの国産材需要拡大策には限界が出て来たと、つくづく感じています。